ご存知ですか?大企業も対象の「両立支援等助成金」業務代替支援コース

はじめに.企業規模要件のない、希少な助成金

「国の助成金なんて、どうせ中小企業だけでしょ?うちは規模が大きいから関係ない」そう思い込んでいる経営者様や人事担当者様は非常に多いです。確かに多くの助成金には厳しめの「中小企業要件」が存在します。

しかし、現在国が最も力を入れている育児休業支援において、企業規模に関わらず「申請できる」非常に狙い目のコースが存在することをご存じでしょうか。それが両立支援等助成金の「育休中等業務代替支援コース」です。

特に「周りの社員に手当を支給してカバーする」仕組みについては、大企業・中堅企業であっても制限なく活用できます。法改正により育休取得率の公表義務が拡大する今、絶対に知っておくべき最新の支給ルールと活用法を、社会保険労務士の視点から解説します。

1. なぜ今、育休の「業務代替」が最大の経営課題なのか

男性・女性を問わず育児休業の取得率は上昇の一途をたどっていますが、現場を預かる管理職の本音は違います。「休ませてあげたいが、残されたメンバーの負担が大きすぎる」「周囲の社員が疲弊してギスギスしてしまう」という「しわ寄せ」の問題です。

現場の痛みを解消し、まわりに気兼ねなく育休を取得できる環境を整えるために用意されたのが、今回ご紹介する助成金のコースです。

実は、この助成金は、「手当支給等(育児休業・短時間勤務)」に関しては企業規模の要件がありません。 大企業であっても中小企業と同じ条件で、手厚い国の助成(最大1年度あたり10人まで、初回から5年間まで)を受けることができる、まさに厚労省の思い切った助成金なのです。

2. 選べる3つの種別と、驚くほど手厚い助成

この助成金は、育休や短時間勤務で空いた穴を「どうやって埋めるか」によって、主に以下の3つのメニューに分かれています。

① 手当支給等(育児休業)※企業規模要件なし

人が抜けた穴を、新しい人を雇わずに「今いるメンバー」で分担し、会社がその頑張りに対して手当を支給する場合です(対象者が7日以上の育休を取得)。

  • A:業務体制整備費:最大20万円(体制を整えるための定額支給)
  • B:業務代替手当:手当支給額の4分の3(最大240万円)

② 手当支給等(短時間勤務)※企業規模要件なし

育休明けなどで、子供が小さいうちに「短時間勤務制度」を1か月以上利用する社員の業務を、周囲のメンバーがカバーして手当を支給する場合です。

  • A:業務体制整備費:最大20万円
  • B:業務代替手当:手当支給額の4分の3(最大108万円)

③ 新規雇用(育児休業)※中小企業のみ

育休取得者の代わりに、派遣社員や有期契約社員等を「新しい戦力」として確保し、7日以上の育休期間中に業務を代替させた場合です。

  • 支給額:最短(7日以上)9万円 〜 最長(1年以上)81万円まで、代替した期間に応じて変動します。

注目すべきは①と②の「手当支給」です。会社が周囲の社員へ支払った手当の「4分の3」を国が肩代わりしてくれるため、原資の負担を最小限に抑えながら現場の不満を解消できます。

3. 受給のためにクリアすべき「3つのステップ」

非常に手厚い助成金ですが、突発的に手当を出しただけでは受給できません。確実に対象となるためには、以下の実務に即した「必要な投資(事前の体制整備)」が求められます。

  • ステップ1:代替業務の見直しと効率化の取組 ただ残業でカバーさせるのではなく、業務の棚卸しや効率化の取組を社内で実施します。
  • ステップ2:就業規則等への規定 「業務を代替した労働者に対して、どのような基準で手当を支給するのか」を、あらかじめ就業規則や賃金規程に明確にルール化しておく必要があります。
  • ステップ3:確実な継続雇用 育休(7日以上)または短時間勤務(1か月以上)を利用した本人が、無事に職場復帰し、支給申請日までしっかりと継続雇用されていることが条件となります。

4. まとめ:職場を守るための「必要な投資」を今すぐ

 育休に伴う現場の負担を「社員の善意や我慢」だけで乗り切ろうとする時代は終わりました。周囲の社員へ正当な手当を支払い、職場全体の不公平感をなくすことは、優秀な人材の離職を防ぎ、会社の信頼性を守るために「なくてはならない、必要な投資」です。

ただ、いざ導入するとなると、経営者様や人事担当者様からこのようなリアルな不安の声をよくいただきます。

  • 「育休が終わった後、トラブルにならないように気をつけることは?」
  • 「残されたメンバー間で『私の方が負担が重い』と不満が出ないような、公平な分配ルールは?」
  • 「国の助成金審査に適した就業規則の具体的な文言は?」

助成金をもらうことだけを目的にして、適当に就業規則を変えてしまうと、後々社内の労務トラブルに発展するリスクがあります。だからこそ、事前の「仕組み作り」が最も重要なのです。

当事務所では、単なる申請代行ではなく、貴社の社員全員が納得して働きやすい手当のルール設計から就業規則の改定まで、実態に合わせて細やかに伴走サポートいたします。

大企業・中堅企業だと見落とされがちな各種助成金ですが、この「育休中等業務代替支援コース」はぜひご検討いただきたい制度です。

「うちの会社なら、どんな手当のルールが最適か?」「まずは受給可能性を知りたい」という方は、ぜひ一度、下記よりお気軽にお問い合わせください。

・参考:厚労省リーフレット 2026(令和8)年度 両立支援等助成金のご案内