育休がでたらチャンス!企業価値を高める「くるみん認定」と「2つの助成金」

「社員から育休の相談を受けたけれど、人手不足のなかでどう回せばいいだろう…」
「手続きやコストの負担ばかりが増える気がして、正直頭が痛い…」

中小企業の経営者や人事担当者の方から、このような本音を伺うことは少なくありません。確かに、育休は人員減や業務の調整を伴うため、会社にとっては「負担(コスト)」と考えられがちです。

しかし、それは大きな誤解で、社内で「育休を取りたい」という社員が現れた時こそ、会社を国のお墨付きの「ホワイト企業」へと進化させ、採用力を高めるチャンスなのです。

今回は、育休を会社にとって最高の「投資」に変えるためのキーワード、「くるみん認定」と、それを強力に後押しする「2つの助成金」について解説します。

1. そもそも「くるみん認定」って何?

「くるみん認定」とは、少子化対策の一環として、次世代育成支援対策推進法に基づき「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認めた企業のことです。

「うちのような小規模な企業には関係ない」と思っていませんか?実は、くるみん認定の要件には「男性の育休取得」や「女性の育休取得率」などが含まれており、社内で育休が「出た」ということは、すでにこの認定要件の大部分をクリアしかけている状態なのです。

せっかく社員が育休を取得するのであれば、それを社員単体のライフイベントで終わらせず、会社全体の「ブランディング」へと繋げない手はありません。

2. 経営者が「くるみん」を目指すべき強力なメリット

くるみんマークを取得すると、企業には以下のような実利(ベネフィット)がもたらされます。

① 求人での圧倒的な採用力アップ ハローワークの求人票や各種就職情報サイト、自社のホームページに「くるみんマーク」を掲載できます。「社員を大切にするホワイト企業」「長く安心して働ける環境」であることの最高の証明になり、新卒や優秀な中途層、特に若手人材からの応募数が格段に変わります。

② 企業イメージと社会的信頼の向上 「国が認めた子育て支援企業」という看板は、取引先や金融機関、地域社会からの評価を大きく高めます。

③ 公共調達や税制での優遇 政府や自治体の公共調達(入札)において加点評価を受けられたり、一定の割増償却などの税制優遇措置が受けられたりなど、ビジネスの実利にも直結します。

3. くるみん認定を受けるための「4つの主な要件」

「国の認定なんて、よほど厳しい基準があるのでは?」と思われるかもしれませんが、実は中小企業が取り組みやすいよう、現実的なラインが設定されています。ただし、単に「育休を取らせた」だけで自動的にもらえるわけではなく、主に以下のような「会社としての健全さ」が審査されます。

  1. 男性・女性それぞれの育休取得の基準を満たすこと
    女性の育休取得率75%以上、男性の育休等取得率30%以上等の基準をクリアする必要があります。
  2. 「一般事業主行動計画」で掲げた目標を達成していること
    あらかじめ労働局に提出した行動計画の目標を、期間内にきちんと達成できていることが必須です。
  3. 労働時間が適切な範囲内であること
    月平均の法定外労働時間が一定時間未満であるなど、いわゆる「長時間労働が常態化していないクリーンな職場であること」が求められます。
  4. 重大な労働関係法令の違反がないこと
    過去に労働基準法や育児介護休業法などに違反し、送検や勧告等されていないことが大前提となります。

こうして見ると少し身構えてしまうかもしれませんが、裏を返せば、これらをクリアして「くるみん認定」を受けることは、求職者に対して「我が社は長時間労働がなく、法令を遵守している本物のホワイト企業です」と証明する最大の武器になります。


4.実質負担が減らせるかも?必ず活用を検討したい「2つの助成金」

「メリットは分かったけれど、やはり育休中の代替要員の確保や、体制づくりにお金がかかる」という経営者の方、ご安心ください。国は、両立支援に取り組む中小企業を応援するために、非常に手厚い助成金を用意しています。

① 両立支援等助成金(出生時両立支援コース / 育児休業等支援コース)

これは、育休を取得しやすい環境を整えた企業に対して支給される助成金です。

  • 出生時両立支援コース(子育てパパ支援): 男性の育休取得を促進するための仕組みを作り、実際に男性社員が育休を取得した場合に支給されます。
  • 育児休業等支援コース: 「育休取得時」と「職場復帰時」の2段階、さらに休業中の代替要員を確保した場合などに、企業の取り組みを評価して支給されます。

育休中の業務をカバーする周囲の社員手当を支給した場合(業務代替手当)のコースもあるため、社内の不公平感をなくし、職場の雰囲気を良くするためにも絶対に外せない助成金です。

② くるみん助成金(中小企業子ども・子育て支援指定法人助成金)

そして、見落とされがちなのがこの「くるみん助成金」です。 これは、中小企業が「くるみん認定」を実際に受ける、またはさらに上位の「プラチナくるみん」などの認定を受けた後に申請、最大50万円が支給される制度です。

「両立支援等助成金」で育休取得の体制をバックアップし、最終的に「くるみん認定」を勝ち取ることでさらに「くるみん助成金」を受け取る――。このダブルのサポートを活用すれば、会社が負担する実質的なコストを大幅に抑え、プラスの投資へと転換することが可能になります。

4. 今すぐ始めるべきファーストステップ

くるみん認定やこれら2つの助成金を確実に手にするためには、共通して「あらかじめ仕組みを作っておくこと」が絶対条件となります。
具体的には、以下のステップが不可欠です。

  1. 就業規則(育児介護休業規程)を最新の法改正に対応させる
  2. 「一般事業主行動計画」を策定し、都道府県労働局へ届け出る・公表する
  3. 社内で育休制度に関する周知や意向確認を適切に行う

これらは、社員が育休に入ってから慌てて遡って作成しても、助成金のタイミングに間に合わない可能性もあります。「育休の相談が出た」「そろそろ我が社でも育休を取る人が出てきそうだ」という今このタイミングこそが、就業規則を見直し、仕組みを整えるベストタイミングなのです。

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